Blu-rayディスクに収録された映画を、PlexやKodiなどのメディアセンターで簡単に視聴できるようにするには、ディスクの内容をPCに取り込み、最適なフォーマットへ変換する工程が必要です。この記事では、その具体的な手順を紹介します。
1. Blu-rayディスクのリッピング
最初の工程は、Blu-rayディスクのビデオとオーディオデータを抽出して、コンピュータに保存する作業です。
使用するソフトウェア
- MakeMKV
Windows、macOS、Linuxに対応した定番リッピングソフトです。MKV形式で出力し、音声・字幕トラックをそのまま保持できます。ベータ版として無料で利用可能ですが、定期的にベータキーの更新が必要です。4K UHDディスクのリッピングには対応ドライブと、ハッシュ化された復号キーが必要になる場合があります。 - HandBrake
MakeMKVで作成したMKVファイルを圧縮し、ファイルサイズを削減したい場合に利用します。MP4やMKV形式への再エンコードに対応し、ビデオ品質と容量のバランスを調整できます。圧縮による品質劣化はありますが、ストレージに制限がある場合には有効です。 - 有料ソフトウェア
Acrok、DVDFab、DumboFab、VideoByteなどのソフトは、より多くの出力形式や強力な復号機能を備えています。最新のコピー保護にも対応しており、DVDFab HD Decrypterは無料版として基本的な機能も提供されています。
MakeMKVによる基本的な手順
- MakeMKVをインストールし、ベータキーを入力(求められた場合)。
- Blu-rayディスクをPCのドライブに挿入。
- MakeMKVを起動。エラーが出る場合は管理者権限で実行。
- ディスクの解析が終わったら、メインタイトルや必要な音声・字幕トラックを選択。
- 出力先フォルダを指定。
- 「Make MKV」ボタンをクリックしてリッピング開始。
2. 最適なビデオフォーマットを選ぶ
MakeMKVで作成されるファイルは通常、MKV形式です。この形式は柔軟性が高く、多くのプレイヤーに対応していますが、必要に応じて別の形式に再エンコードすることで互換性やサイズを調整できます。
主なコンテナ形式
- MKV(Matroska)
複数の音声・字幕トラックを1つにまとめられる柔軟なフォーマット。KodiやPlexで広くサポートされています。 - MP4
スマートフォンやテレビなど、幅広い機器との互換性が高く、ストリーミングにも適した形式。PlexではH.264エンコーディングのMP4を推奨しています。 - AVI / MOV / WMV / MPEG-TS
古い形式ですが、環境によっては使用可能。ただし、汎用性やモダンなコーデックとの相性ではMKVやMP4が優先されます。
主なコーデック
- H.264 (AVC)
映像品質とファイルサイズのバランスに優れ、多くのデバイスでサポートされています。 - H.265 (HEVC)
H.264よりも高い圧縮効率を持ち、特に4K動画で効果的。ただし、古い機器では再生できないことがあります。
主なオーディオコーデック
- AAC
- AC3(Dolby Digital)
- DTS
- FLAC(可逆圧縮)
再生環境によって最適な音声形式を選ぶことで、品質と容量のバランスを取ることができます。
3. メディアセンターソフトとの連携
Plex
- 複数のデバイスでのストリーミングに対応。
- ファイルの自動整理やメタデータ取得機能を備えています。
- クライアント側が再生できないフォーマットの場合、自動でトランスコード処理を行います。
Kodi
- 無料でオープンソース。
- 拡張性が高く、あらゆるフォーマットとプロトコルに対応。
- 暗号化されていないBlu-rayディスクの直接再生も可能です。
MKVやMP4ファイルをPlexやKodiに追加するだけで、テレビやスマートフォン、PCなどから快適に視聴できるようになります。
4. 法的注意点
米国では、Blu-rayディスクのコピーガード(DRM)を回避する行為はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に違反するとされています。
- 所有しているディスクであっても、保護解除は原則として違法とされます。
- 個人的な利用での摘発はまれとされていますが、商用目的や配布は厳重な処罰対象です。
- 国によって法律が異なるため、地域の規制を確認することが推奨されます。
まとめ:Blu-rayの変換プロセスの全体像
- Blu-rayをPCにリッピングする(MakeMKVなど)。
- ファイルサイズや互換性を考慮して再エンコードする(HandBrakeなど)。
- 最終的な動画ファイル(MKVやMP4)をPlexやKodiに登録。
- 再生環境に応じて、フォーマットやコーデックを最適化。
以上の工程を実施することで、自宅の映画コレクションを手軽にデジタルライブラリとして活用できます。ディスクを毎回挿入する手間を省き、スマートに映画体験を楽しめる環境が整います。